フリースタイルダンジョン 3代目モンスターの個人的おすすめ音源を紹介
今回はフリースタイルダンジョン、3代目モンスターの個人的な感覚で選んだ聞いておくべきおすすめ音源を各モンスターにつき1つ選んで紹介しようと思います。
FORK (ICE BAHN)
・SATISFACTION feat.TSUBOI(アルファ) / ICE BAHN
2013年のアルバム「RHYME GUARD」に収録されている音源。
先に言っておくとこの音源、ドドドド下ネタです。
テーマはズバリ「セックス」。Hookでも「NO SEX NO LIFE キーポンムービン」と言っています。
なぜこの曲を選んだのかというと、IBとTSUBOIの四人が韻をガッチガチに踏みながら綺麗にテーマに沿ってバースを蹴っているんですよね、特にFORKは芸術的な韻の踏み方でセックスについて「語って」います。
リリックの一部を抜粋すると、
「パンパンに張った海綿体はあかい明太子
腰振ってるリズムに合わせてカンカン鳴ってる回転太鼓」
「オーガズムまでのー方通行 後戻りは出来ない好都合
見た事ない壁 ゴッツンゴッツン 恥骨の奥 チンコ突っ込む」
「たまりに溜まったタマタマから出る弾にはたまげる玉手箱」
これだけ複雑に韻を踏んでおきながらユーモア溢れる比喩や聞き心地のいいフロウをプラスしているのは流石RHYME SAVERとしか言いようがありません。しかもこの音源では珍しく頭韻を使っていて、新鮮な踏み方をするFORKを見ることができます。もちろん玉露、KIT、TSUBOIの三人もFORKに負けないほどのバースを蹴っているので是非チェックしてみてください。
呂布カルマ
・BACKBORN Feat.NAIKA MC,MC CARDZ,呂布カルマ,RITTO / DJ BAKU(KAIKOO) & DJ YO-HE¥
この音源は呂布個人ではなく客演として呼ばれた物ですが、他のラッパー達を圧倒するレベルで呂布がパンチラインを量産しています。
リリックの一部を抜粋すると、
「身から出たサビ 異端のB 出る杭打たれて 裏側貫通」
「俺は草食系日本男児 お前の人生を狂わせた真犯人」
「限界を超えるだのほざく奴の大半が未だ限界にさえ達していない
俺はまだ見えない その先が知りたい 残された時間は驚くほど短い」
溢れ出るリリックセンスと極上の表現で聞いている人の心を一瞬でつかんで離さない、呂布の良いところが爆発しているようなバースです。
特に「出る杭打たれて 裏側貫通」というフレーズはHIPHOP、そして呂布自身の反骨精神をうまく表しているとも言えます。
また、この曲のビートは普段の呂布の音源とは真逆とも言えるハードコアな感じなのですが意外にマッチしていて尚且つ新しさを感じたのでとても楽しんで聞くことができました。もちろん他のラッパーもかましているので是非聞いてみてください。
ID
・10000ft / ID
つい最近リリースされたIDの「INSTANT DOPE 10000ft」からの音源。
私の個人的な感想として、この音源は何も考えずに頭を空にして聴いた方がいいと思います。
というのも、IDの心地よく流れるような低音フロウがトラックとシンクロしすぎて、もはやIDの声が一つの楽器のように感じてしまい、一つのBGMとして成立していて自然に体を揺らしてしまうから、変にリリックを読み取ろうとするよりそこにある音を聴いていた方が楽しめると思いました。
リリックの内容は割とセルフボースト的なんですが、もはやそんなことどうでもいい程に音楽性が高く、ついついリピートしてしまうほどの中毒性を持っています。
また、曲の途中でトラックがまるっきり違うものに変わるのに変化するのに対して柔軟なフロウでそれをうまく乗りこなすIDは流石。
これが収録されているIDのアルバム「INSTANT DOPE 10000ft」はBGMとして聴ける曲はもちろん、メッセージ性の強い曲も入っているので是非。
JUMBO MAATCH
・LIFE GOES ON / JUMBO MAATCH
3代目にJUMBO MAATCHが就任したことで少し音源をディグってみたのですが、個人的にこの曲が一番いいと思いました。
まず、この曲はひたすら「~こと」で韻を踏んでおり、Hook以外は全てそれで構成されています。
あえて長めの韻を入れずにひたすら同じ言葉で踏むことで、構成するリリックの自由度が広がりメッセージ性を強めることができるのだと私は思います。
リリックの一部を抜粋すると、
「辛すぎる別れがあったこと できるならしたいなかったこと
大事な人をうしなったこと 身をもってして分かったこと
また一つ年取ったこと なかなか言えぬ思ったこと
止まらない列車に乗ったこと いつのまにかまた日が昇ったこと」
というのがあり、「~こと」で韻を踏みながら強いメッセージ性を持ったリリックを心地よいレゲエビートとフロウで届けています。
まだJUMBO MAATCHの音源に関してはあまり詳しく知ることができていないのでもしかしたら今後変わるかもしれません。
ERONE
・ゆめものがたり / ERONE
2009年にリリースされた「ゆめものがたり」というアルバムの一曲。
この曲はERONEがひたすら抱きたい女の名前を踏みながら言うっていう衝撃的な曲なんですが、妙に完成度が高く中毒性もあるのでついついリピートしてしまいます。
「FUCKIN‘なうさせてやアッキーナ」「カリ舐めてや 香里奈」「小粋なHONEY 堀北真希」
「君に決まりそう リア・ディゾン しょこたんと二人でギザエロス」
もうこれだけで面白い、下品、最低で最高。
上戸彩からインリン・オブ・ジョイトイまでみんな抱きたいって言いながら踏む、ERONEに見境はないのかって思ってしまうほど幅が広い。
こんなふざけてる音源ですが、そこには確かなスキルと遊び心があって聞きたくなるような味付けがされています。そこがERONEの凄いところ。
もちろんこの「ゆめものがたり」というアルバムには真面目な曲もあるので是非聞いてみてください。
TK da 黒ぶち
・FiREE / TK da 黒ぶち
これは「Live in a dream!!」というアルバムに入っている音源です。
個人的に思うTKの音源の特徴と言えば、ストレートな熱い言葉だと思うのですがこの音源では特にそれが顕著に表れている印象があります。
「ペンと紙を前にして問われる
俺はこのCultureのConsciousなStyle
感情を伝えるのがRapperの正義さ
純粋な衝動は時を超える」
ここは特に私が強く心打たれた部分なんですが、TKのラッパーとしての苦悩、葛藤などを乗り越えた明確な意思を感じました。ありのままの感情を音源なりバトルなりで伝えるのがラッパーの正義であり、純粋な衝動で作られたものは時をも超え、所謂「クラシック」として未来永劫残り続けるのだと。
「Live in a dream!!」のなかにはFiREEのような熱い曲もあればナイーブな曲、内省的な曲もあるので是非聞いてみてください。
ついに始まった3代目モンスターのフリースタイルダンジョン、そんな彼らの音源も是非注目してみてください。